古い殻を脱ぎ捨て、力強く脱皮・変身する

蛻変(ぜいへん)

不断の成長のために
古い殻を脱ぎ捨て、
力強く脱皮・変身する勇気を持つ

ヘビやセミは成長の過程で、古い殻を脱ぎ捨てる。力強く脱皮・変身していく、これが「蛻変(ぜいへん)」です。脱皮しない生物の体は小さいままで、激しい生存競争の中で食われる運命にあるのです。変化の激しい時代においては、変化を拒むことこそがリスクで、これは人間界、つまりは企業・ビジネスの世界においても同じだと考えます。

経営者は脱皮し続ける存在であれ

リーダーである経営者は、居心地の良い安住の地を離れ、次の経営ステージに挑戦する勇気を持たなければならないのです。私も半世紀に及ぶ経営者人生の中で、次々と古い皮を脱ぎ捨ててきました。

最初、お世話になったメンターのもとを離れ、メーカーの専売店から全メーカーを販売する家電量販の道に飛び込みました。また、その量販の加盟店(フランチャイズ)でトップの売り上げだったにもかかわらず、グループを脱退し、規模が半分以下の家電量販グループを結成するなど、厳しい選択を自らに貸してきました。その度に苦境が訪れ、それを乗り越えることで、私の経営は次のステージへと成長を遂げていきました。

しかし、周りを見渡せば、いつもと同じ仲間に囲まれたまま過ごす人があまりにも多く、10年後、20年後に「こんなはずではなかった……」と嘆く経営者が少なくありません。

私はこの蛻変(ぜいへん)の経営を実践してきたからこそ、年商7000万円・正社員数3名という状況から、年商339億円・正社員数600名を超える大企業へと成長を遂げることができました。

「蛻変(ぜいへん)の経営」とは、勇気を持って成功の殻を破り続けること

蛻変(ぜいへん)の経営を実践するためには、「過去の成功をかなぐり捨てること」「周りと同じことに危機感を抱くこと」が必要です。成功を捨てるには、また安定を捨てるには大きな勇気が必要です。そしてそれには、大きな痛みが伴います。この成長のための痛みを乗り切る原動力は「社長が持つ目標や夢、つまり志」なのです。

経営の試練は次のステージへの通過儀礼

会社経営は際限のないモグラ叩きのようなもので、その都度乗り越えていくことこそが経営だと思っています。

私自身、初めて出した店舗が訴訟問題で開店4日で閉店となったり、メインバンクの貸し渋りによる倒産危機など数えきれないほどの難局に直面してきましたが、絶対に諦めないという不屈の精神力で打ち破ってきました。

経営者は不況、難局であればあるほど目を輝かせ、胸を張って先頭を歩き続けなければなりません。その姿を見て、社員は社長についてくるのです。

「蛻変(ぜいへん)」——皆さんが変わることを恐れず、次々とステージを乗り換え、成長していくことを期待します。